本記事ではこのような疑問を解決できます。
本記事で分かること
- 金利は4つの要因で決まる。
- よくある『財務内容』では決まらない!?
- ホームページの金利表の読み方が分かる。
日本政策金融公庫に限らず金融機関から融資を受ける際に『金利』は気になりますよね?
資金を調達するときはどれだけの金利負担となるのかが大事になってきますが、その金利がどうやって決まっているのかは不明瞭になっていることが多いものです。
そんななか日本政策金融公庫(国民生活事業)の金利は比較的わかりやすい体系になっていますので、ご紹介していきます。
金利が決まる4つのポイント
日本政策金融公庫の金利は4つのポイントが影響して決定されます。
ポイント
- 創業融資?中途融資?災害貸付?
- 特別利率を適用できる条件を満たしているか?
- 担保の提供や連帯保証の加入があるのか?
- 返済期間は何年?
一つずつご紹介していきますね。
創業融資?中途融資?災害貸付?
金利を決定するうえでまず最初の分岐点となるのが、日本政策金融公庫の創業融資に該当するかどうかになります。
もう少し詳しく書くと、新創業融資制度を適用するかどうかが分岐点となります。
新創業融資制度とは財務申告2期終えていない方を対象とした融資制度で、適用するための要件を満たせば無担保・無保証人での融資を受けることができるのです。
中途融資とは「税務申告を2期以上終えている事業者向けの融資の総称」としてここでは用いています。
すでに何年も事業を継続している事業者への融資よりも、これから創業される事業者や創業して間もない事業者への融資の方がリスクが大きい(返済してもらえなくなる確率が高い)ので、金利は高めに設定されています。
また税務申告を2期終えているかどうかに関わらず、災害貸付を適用する場合はこれらとはまた別の金利テーブルがあり、そのなかからさらに該当する金利を決定していくことになります。
被害に遭われた事業者向けの融資だけあって、金利はかなり低めに設定されています。
特別利率を適用できる条件を満たしているか?
新創業融資制度を適用するかどうかを決定して、次は特別利率を適用できる条件を満たすかどうかを検証していくことになります。
日本政策金融公庫の金利には「基準利率」と「特別利率」の2種類がありまして、名前の通り基準利率は特に優遇されない金利で、特別利率は金利の優遇が一定あるものになります。
日本政策金融公庫には様々な融資商品があり、融資商品ごとに「この条件を満たしていれば特別利率Aを適用する。」などが定められています。
これは日本政策金融公庫のHPでも確認することができます。
借りる側からすれば金利はできるだけ安いほうが良いのは当然で、審査担当者側も適用できる特別利率があるならば原則それを適用しなければいけないわけです。
担保の提供や連帯保証の加入があるのか?
3つめは担保の提供や連帯保証人の加入があるかどうかになります。
融資する側としては融資金を回収できる可能性を少しでも引き上げることができるならば、金利を低くすることができます。
金利とはあなたのことを信用できるか(ちゃんとお金を返してくれるのか)を数値化したものと言っていいでしょう。
金利が高ければあなたのことをそこまで信用していない、逆に金利が低ければあなたのことを信用しているということになります。
担保として提供できるのは主に不動産や有価証券になりまして、その評価額が融資残高に占める割合に応じて金利が低くなるような仕組みになっています。
また連帯保証人の加入はあれば金利が下がるというものではなく、なければ金利が上がるような仕組みになっています。
日本政策金融公庫の制度に「経営者保証免除特例制度」というものがありまして、一定の要件を満たせば代表者の連帯保証人を外すことができるというものです。
ただしこの制度を適用すると金利が+0.2%となってしまうので注意が必要です。
返済期間は何年?
最後は返済期間になります。
実は返済期間によっても金利が上乗せされることがあり、金利を決める要因の一つとなっているのです。
これは返済期間が長ければ長いほど、融資する側は「事業者が返済してくれなくなるかもしれない」というリスクを抱えることになりますので、リスクに見合ったリターン(利息)を設定しているからなのです。
かなり細かい話になりますので、「返済期間が何年以上になったら金利が上乗せされるのか?」などの細かいところは正直言って忘れました…笑
当てはまらない例外もアリ!
日本政策金融公庫の金利の決め方をご紹介してきましたが、このポイントが当てはまらない融資商品が実はあります。
注意
資本性ローンは独自の金利の決め方があります!
資本性ローン(挑戦支援資本強化特例制度)とは、ベンチャー企業など技術やノウハウに新規性が見られる事業を展開している企業向けの融資商品になります。
この資本性ローンは、借入後1年ごとに直近決算の業績に応じて向こう1年間の金利が変動する仕組みとなっています。
具体的には『直近決算の売上高減価償却前経常利益率』に着目して「5%超」「0%以上5%以下」「0%未満」と区分分けし、『返済期間』では「5年1ヶ月以上7年以内」「7年超9年以内」「9年超12年以内」「12年超15年以内」と区分分けしまして、当てはまる金利を1年ごとに適用することになります。
売上高減価償却前経常利益率が低い、つまり赤字のほうが低い金利が適用される体系となっているのです。逆に業績が良いと日本政策金融公庫の通常の融資と比べて高い金利が適用されることになるので、もしも資本性ローンを利用したいという事業者は注意しておきましょう。
番外編:財務内容は金利に影響しない?
金利を決めるポイント3つをご紹介してきました。
先ほど挙げた経営者保証免除特例制度の適用要件には「財務状況に問題がないこと」とある通り財務内容が全く影響しないということはありませんが、「赤字だから金利が上がる」などは実はないのです。
先ほど金利の決め方の例外としてご紹介した資本性ローンは、赤字のほうが金利が下がる体系になっていますね。
ここは民間金融機関とは異なり、日本政策金融公庫ならではの金利体系ではないかなと思います。
もう少し言ってしまうと、財務内容が良い事業者と悪い事業者でもご紹介した4つのポイントが同じであれば同じ金利が適用されることになるのです。
日本政策金融公庫の金利表の見方
最後に日本政策金融公庫のHPに掲載されている金利表の見方を少しだけご紹介します。
日本政策金融公庫の主要利率一覧表を見てみると、「担保を不要とする融資を希望される方」「新創業融資制度(無担保・無保証人)を希望される方」など、先ほどご紹介したポイントで大きく区分分けされていることが分かりますね。
よく見てみると、基準利率も特別利率も「〇%~△%」と範囲があります。
この範囲が返済期間によって適用する金利の変化となっているのです。
先ほどでも触れたように、一般的な返済期間であれば返済期間で金利が上乗せされることはありませんので、そこまで気にされなくても良いかと思います。