本記事ではこのような疑問を解決できます。
本記事で分かること
- 無借金経営は最強ではない!デメリットもある。
- 実質無借金経営は借入のメリット、無借金のメリットを両取りできる。
公庫で勤務していた頃このような問い合わせの対応をしていました。
このとき「なぜ完済することにしたのでしょうか?」と必ず確認し、ほぼ同じ答えが返ってきます。
それは「借金なんて抱えて良いことないからね。」です。
「借金=悪」という認識が今もなお強く、無借金経営こそが経営者が目指すべき姿と考える経営者が多いです。
この記事では無借金経営の危なさや目指すべき姿について書いていきます。
結論は下記の投稿に集約されます。
無借金経営を目指す事業者は多いですが、デメリットのほうが大きいことがあります。例えば、必要時の資金調達が難しいことで黒字倒産の危険が高まったり、まとまった資金がないためにビジネス機会を逃す可能性が高まったり。
では、何ががベストなのか?
1つの選択肢に『実質無借金経営』があります。— みつき / 元公庫職員VTuber (@mitsuki1141) September 14, 2021
無借金経営のメリット
まずは経営の理想の姿と呼ばれる無借金経営のメリットについて書いていきましょう。
利息負担がない
借入をするとそこには利息(金融機関の利益)が発生し、元金と合わせて毎月支払いが生じます。
当然ながら借入金額が多ければ多いほど利息も大きくなり、利益が削られてしまします。
せっかく本業で利益を稼ぐことができても、借入がたくさんあれば利息をたくさん支払うことになり、金融機関のために事業を頑張っているような格好になってしまいます。
金融機関に持っていかれたい変わり者はいないと思います…
無借金経営であれば利息はゼロになるので、稼いだ利益が手元に残ることになります。
取引先からの評価が良くなる
規模が大きい企業との取引を始める際、相手企業は「あなたの企業と取引をしても良いか?」という与信審査を行っています。
調査会社の調査レポートの取得や決算書の提出依頼で判断に必要な材料を集め、取引を始めたときちゃんと支払いをしてくれるのか、財務内容の健全性を見られているのです。
無借金経営であれば金融機関に資金が回って資金繰りの負担となることはないため、良い財務内容だと評価されるのです。
経営について金融機関の影響を受けない
受けている融資額によりますが、金融機関から融資を受けていると債権者の立場から「もっとこうしろ!」などの口出しを受けることがあります。
なかには経営に関する助言だけではなく、人員を派遣して内側から影響力を持とうとすることもあります。
ちなみに…
公庫(国民生活事業)ではこのようなことはありません。
さらに言ってしまえば、毎年決算書を持ち込んで業況の説明を行うということも不要です。
きちんと返済していればほったらかしにしてくれます…笑
無借金経営のデメリット
良いこと尽くしということはなく、デメリットもあります。
ここからはデメリットを見ていきましょう。
突然の資金需要に対応できない
無借金経営ということは金融機関と関係がないということです。
関係がない状態でいきなり融資の申込に来られると、審査担当者は、
となります。
これは危ない企業との付き合いをできるだけ避けるためです。
さらにはまだ信用できる企業なのか分からないため、いきなり高額な融資を受けられる可能性は低くなります。
このため、急に資金が必要となった場合に迅速に対応してもらいづらくなるのです。
今回のコロナ禍で痛感した事業者は多いのではないでしょうか?
あの有名な落合シェフでさえ、同様なことを感じたと語られています。
「初めて銀行で借金をした」落合務シェフが語るコロナ禍の飲食店が「本当に伝えたいこと」
資金を効率よく使えない
事業を拡大していく、もしくはさらに別の事業を始めるためには常に投資が必要になります。
そして、投資を行うには資金が必要になりますよね?
無借金経営の場合であれば、投資に必要な資金は事業の利益からしか捻りだすことができません。
まとまった資金を1年間の事業利益で賄えることは少なく、資金を作るには時間が掛かるのです。
資金を作ることに時間が掛かってしまっては、せっかくのチャンスをみすみす逃してしまいます。
実質無借金経営が一番良い!
このように無借金経営が理想の姿と言われているだけあってメリットがありますが、デメリット(借入をするメリット)も存在していることを知っておく必要があるのです。
無借金経営のメリットと金融機関から借入するメリットの両取りができるのが、実質無借金経営です。
簡単に言うと、金融機関から借入があるがいつでも完済できる状態のことを言います。
財務内容の健全性を対外的にアピールすることができ、一方で金融機関との関係を維持して突然の資金需要に対応できる体制を整えることができるます。
つまり、「借金はゼロが良い!」「できるだけ目一杯借金すべき!」と極端にはならず、バランスが大事だということです。
これまで「借金は悪!無借金経営こそ理想の姿だ!」と思い込んでいた方は、これを機に手元資産と借入のバランスに着目してみると良いかもしれません。