本記事ではこのような疑問を解決できます。
本記事で分かること
- 公庫融資でも落ちる可能性は十分にある
- よくある「6ヶ月空ける」には誤解がある
- 再申込みで必要な準備は懸念事項の解消
- 再申込みとならないよう、まずは事前準備を徹底しよう
公庫融資は審査に寛容だが簡単ではない
インターネット上には公庫融資に関する情報が溢れています。
なかには、「公庫融資は書類を作れば通る」「ブラックでも融資が出る」「公庫は審査がザル」などのような情報もありますね。
この記事をよんでいるあなたは、そのような甘い言葉を鵜呑みにしないでください。
実際に公庫融資の通過率がどれほどなのかというと、およそ5~6割です。
この数値は公表されているデータがあるわけではなく、私が公庫で勤務していたときの経験から感じるものです。
また、支店によって多少ブレはありますし、創業融資なのか通常の事業融資なのか、他にはそのときの経済情勢によってもブレはありますが、全部ひっくるめて融資通過率は5~6割くらいだと感じます。
どうでしょう?けっこう通過率が低いと感じるのではないでしょうか?
もちろん民間金融機関と比べると融資難易度は易しいと言えますが、審査がザルになっているわけではなく、審査で見られる各ポイントで民間金融機関よりも許容範囲がちょっと広いというイメージをもっておきましょう。
ネットの情報を鵜呑みにして足元をすくわれてしまうと、融資が出ずに資金の工面がうまくできず、事業計画を後ろ倒しにせざるを得なくなります。
公庫の融資再申込みでよくある誤解
「再申込みは半年空ける」は間違い
公庫融資に落ちる可能性があることを認識したうえで、もう1つの誤解を解いていきたいと思います。
このような文言を見聞きしたことはありませんか?
私は発信活動を始めてからよく相談を受けていますし、現役職員として窓口対応していたときに「前回の申込みから半年経過したので再申込みに来ました」と直接言われたこともあります。
この「期間を半年空ける」という言葉は半分間違いで半分正解です。
というのも、言葉が抜けています。
正確には「再申込みの前に審査での懸念点を解消しよう。懸念点を解消したことを客観的な根拠として提示できるようになるには、最低でも半年ほどは必要になりますよね?」です。
「半年空ける」の本当の意味
ここからは「再申込みには半年空ける」に込められている公庫のメッセージについて紹介していきます。
公庫が融資を断るのは、融資をしてもきっちり返済してくれないと思われる懸念点があるからです。
当然ですが、この懸念点が解消されていなければ、何度融資を申込みしても結果は否決で変わることはありません。
融資を受けたいならば、この懸念点を解消する必要があります。
懸念点には様々なものがあり、だいたいのケースでは懸念点は1つではなく複数の懸念点が挙げられ、否決という判断に繋がっています。
懸念点でよくあるものを下に書いておきます。
そして、複数ある懸念点を解消しても「解消できました!」と伝えたところで審査担当者はそれをそのまま鵜呑みにしません。
本当に懸念点を解消したと判断できる客観的な根拠を求めます。
最も分かりやすい客観的な根拠は数字、つまり業績です。
「この業績に懸念点が解消したことが現れてくるまでには相応の時間がかかる」と公庫は考えています。
一方で、業績に反映されるまでに時間がかかるという部分を消して「再申込みは半年は空ける!」のほうがインパクトあるフレーズになるので、そのまま広まっていったのだと思います。
また、懸念点を解消することができれば良いので、様々な懸念点のなかには比較的すぐに解消できるものもあります。
その場合はわざわざ半年の期間を空ける必要はないのです。
再申込みで必要なのは懸念事項の解消
審査での懸念点を探る
再申込みに関する認識も正したところで、実際に再申込みするときに何を気を付ければよいのか、最後に紹介していきます。
先ほどの「半年空ける」のところでも書いたように、前回審査時の懸念点を解消することがゴールになります。
そのためにも、まずは懸念点が何なのかを特定するようにしましょう。
懸念点特定のカギは2つあります。
①面談時や面談後の審査担当者の発言
審査担当者は否決の判断を下すとき、面談のときや面談後の電話で否決となるかもしれないことを匂わせるようにしています。
なぜこんなことをするのかというと、「融資が受けられそうだ!」というあなたの期待値を少し抑えめにすることで、否決の連絡をしたときに感情的になってしまいトラブルとなることを未然に防ぐためです。
稟議書をまとめて決裁者に稟議を回すにあたって引っ掛かていることがあることを言ってはいませんでしたか?
面談や面談後のやり取りを思い返してみてください。
②否決連絡があったときに確認する
否決の連絡を受けたときに、審査担当者から懸念点を伝えてくることはまずありません。
というように連絡があると思います。
このままでは懸念点がどこだったのか分からずに終わってしまいますので、
と、審査担当者にぶつけてみましょう。
全部は難しいですが、懸念点の一部くらいはお話してもらえると思います。
また、税理士経由で申込をした場合は、税理士から公庫へ懸念点はどこだったのかを確認してもらうように税理士に伝えましょう。
懸念点が解消したと客観的に判断できるようにする
懸念点がある程度分かれば、あとは行動に移すのみです。
客観的な根拠に落とし込めるまで、再申込みはグッと我慢して着実に進めていきましょう。
再申込みのときに実感すると思いますが、再申込時はやはり審査の目が厳しくなる傾向にあります。
前回の審査時よりも万全の態勢を整えてから、再申込みの連絡をするように意識してください。
万全の態勢を整えるとなると、1~2か月では時間が足りないと思いませんか?
これから融資を検討するなら、事前準備を徹底しよう
今回の記事のまとめです。
もしあなたがこれから公庫融資を検討している段階ならば、ぜひ甘く見ずに丁寧な事前準備を心がけてください。
公庫融資の通過率は5~6割と書きましたが、丁寧に事前準備ができていれば公庫融資を受けることは難しいことではありません!
面談ではなく、書類作成に注力することをおすすめします。
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