本記事ではこのような疑問を解決できます。
本記事で分かること
- 日本政策金融公庫の融資で一番大事なものは『書類』!
- 事前に提出される書類で融資の方針は8割ほど決まってしまう。
- 書類が重要だけれどやってはいけないこと。
一番大事なものは面談?
実は7月くらいに本屋に立ち寄ったときに、
とふと思いまして、資金調達のジャンルに行ってみました。
けっこう公庫融資に関する本があって、一通りパラパラと目を通したのですが、そのなかでこんな本がありました。
午前中は天気が良かったので、知識を深めたいジャンルの本を探していたところ、このような本が。あまり意識したことはないのですが、公庫に関する本ってけっこうありますね…
実際に融資審査していた者としては、面談よりも事前に提出される書類のほうが重要になると感じます。 pic.twitter.com/2vu6bjPohH— みつき / 元公庫職員VTuber (@mitsuki1141) July 26, 2020
日本政策金融公庫の融資に特化した本でして、本の帯を見てみると「融資を受けるために一番大事なものは書類ではなく面談です!」と書いてあります。
現役の公庫職員が公庫の融資に関する本をチェックすることはまずありませんが、おそらくこれを見たら僕と同じことを思うはずです。
これは間違った情報だ…と。
間違った情報が広く世の中に出回ってしまい、これでは審査担当者も苦労してしまいます。
ここからは元公庫職員という立場から、日本政策金融公庫の融資審査における本当のところをご紹介していきます。
融資で一番大事なものは面談ではなく書類
ポイント
- 日本政策金融公庫の融資は事前に提出する書類が超重要!
- さらに、この書類で融資の方針が8割ほど決まってしまう。
結論を言うと、融資を受けるために一番大事なのは面談ではなく書類です。
冒頭にご紹介した本とは真逆になりますね。
もっと言ってしまうと、面談前に提出される申込書類(例:借入申込書、書類到着後に担当者で確認する個人信用情報、創業計画書や企業概要書)で融資審査の方針は8割ほど決まってしまいます。
と驚く方もいるかと思いますが、ほとんどの審査担当者がこのようにしています。
注意ポイント
ここで誤解してほしくないのは、書類が全てで面談はないがしろにしても良いということではありません。
もちろん融資審査には必要なことなので、面談をしています。
それでは何のために担当者は面談をしているのか?というお話になりますよね。
事業者の皆さんや世間一般的には、
- 面談は審査担当者が事業者の人となりを見る
- 様々な質問を事業者にぶつけて事業者としての資質を見極める
ことが面談の目的だと感じているかもしれません。
面談で聞かれる質問はそこまで幅広いわけではなく、だいたいパターンが決まっています。
事前に聞かれる可能性が高い質問を想定して答えを準備しておく、試験の前に過去問を解くような感覚で対策をしている事業者が多いかと思います。
たしかにその通りではありますが、日本政策金融公庫の審査担当者は面談について少し違った捉え方をしています。
どのように捉えているかは、次の『その理由』にも繋がりますので、後ほどご紹介していきます。
ここでは日本政策金融公庫の融資は面談よりも書類が重要で、面談前の段階で8割くらいは方針が決まっていることを理解しておきましょう。
もちろん面談の内容によっては事前に定めた方針が覆ることも中にはありますし、実際に提出された書類だけでは可決にするか否決にするか判断に迷うという案件もあります。
判断に迷うような案件であっても担当者は、
などを考えたうえで面談を行っています。
その理由
ポイント
担当者にとって面談は事前に立てた仮説を検証する場。つまり申込書類を提出した時点である程度方針を決めている!
ここからは日本政策金融公庫の融資では書類が重要である理由について、ご紹介していきます。
なぜ書類が重要なのかは、日本政策金融公庫の国民生活事業の融資対象先が関係しています。
国民生活事業は中小企業や個人事業主などの小規模事業者を対象に事業性融資を扱っています。
(引用元:日本政策金融公庫HP)
この小規模事業者の定義は、明確に決まっているわけではありませんが年商5億円以下が目安になっています。
また事業性融資以外にも教育ローンも取り扱っていますが、メインは事業性融資です。
ご存じの通り、この小規模事業者と呼ばれる事業者の数というのはとても多いです。
つまり、国民生活事業がお付き合いある企業数も相応に多く、審査担当者1人あたりの審査件数も多いのです。
だいたいですが平均1日1回の面談を行い、1日に1件は審査を終わらせるというイメージです。
これがちょっと案件が滞留してしまうと、瞬く間に抱えている案件数が多くなり仕事が回らなくなるので、できるだけ効率よく審査を行う必要があるのです。
そこで効率よく審査をするために、担当者は面談前に申込書類を読み込んで、融資可決の稟議書を作れるのかを見定めます。
もっと言えば、「あとどのような材料があれば融資ができるストーリーを描けるか?」「逆にこのような材料が出てきたら融資を断る方向にもっていこう」など複数のパターンの仮説を立てたうえで、面談を実施しています。
面談では事業者の人となりなども担当者は見ていますが、担当者にとって面談とは事前に立てた仮説を検証する場なのです。
仮説を立てるためには書類が非常に重要であるため、日本政策金融公庫の融資は面談よりも書類が重要なのだということになるのです。
面談は事前に立てた仮説を検証する場になりますので、面談が終わった段階で担当者の中ではすでに結論を出していることがほとんどです。
やってはいけないこと
注意ポイント
書類が重要だからといって、何十ページにもなる分厚い資料を提出することは逆効果!
最後に、書類は重要だけれども、やってはいけないことについてご紹介していきます。
ここまで融資の方針には書類が重要だと繰り返し書いてきました。
ただし、書類が重要だからと言って何十ページにもなる分厚い資料を提出することは逆効果です。
提出されたからには、担当者は限られた時間の中で書類に目を通して仮説を立てますが、皆さんが事前に担当者にアピールしておきたいことが薄まってしまうことがあります。
書類が多すぎるからといって融資を断られることはありませんが、面談があなたの事業内容を把握するだけの時間になってしまいます。
これだと仮説を十分に検証できず、その分審査に時間が掛かってしまうことになります。
日本政策金融公庫から求められている書類+αくらいで留めるようにしておきましょう。
日本政策金融公庫の融資で求められる書類については、以下の記事で書いています。
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この記事では、『日本政策金融公庫の融資で一番大事なものは面談ではなく書類である』ことについてご紹介しました。
超重要である申込書類のなかでも重要なものは『創業計画書』『企業概要書』です。
申込書類のなかでもこれらの書類には、ある程度の時間をかけて作成することを心がけてください。
それぞれの書類の書き方については以下の記事でご紹介していますので、参考にしてみてください。
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